吉井和哉 Flowers&Powerlight Tour 2011 at 横浜BLITZ

セットリスト

SE THE APPLES
1ACIDWOMAN
2VS
3欲望
4ロンサムジョージ
5イースター
6O.K.
7おじぎ草
8球根
9MUSIC
10クランベリー
11シュレッダー
12ONE DAY
13SWEET&SWEET
14ビルマニア
15LOVE&PEACE

アンコール
1HIGH&LOW
2CHAO CHAO
3WEEKENDER
4FLOWER


横浜BLITZは温野菜以来、実に三年ぶりくらいでしょうか。今の職場から凄く近いので、何とも言えない気持ちになりました。(今日はちゃんとお休み取りました。)早く着きすぎたので、入場までご飯食べたり、物販見たりして時間を潰す。例のごとく、チケット番号は物凄く悪いので後ろの一段高い所に陣取る。平日だというのにお客さんは結構な入り。(SOLD OUTなので当たり前ですが。)
SEの“THE APPLES”が始まった途端歓声が起こる。打ち込みの音と、それに合わせた映像によって緊張感に包まれる。これから始まるライブに対する期待や興奮がどんどん高まっていく。一曲目の“ACIDWOMAN”から吉井和哉の世界に引き込まれる。この曲は吉井善哉や武道館から歌っていた曲だけれど、正に吉井節炸裂って感じの歌だ。力強さ、温度の高さ、切なさが混じってる。吉井さんが確かに其処にいて歌っている。それだけで感動した。奇跡のようにすら感じた。そして“VS”!これは音源で聴いてても楽しいけど、ライブだともっと楽しい。両腕上げて踊って歌って。新しいアルバムからの選曲が中心でしたけど、その中に散りばめられた今までの曲もよかった。「イエロー・モンキー時代の売れなかったシングルのCWの曲です。」と吉井さんに紹介されていた“O.K.”。レア曲ですね。ライブで聴くのも当然初めてでしたが、エロティックで素敵な曲だと思います。当時から、花いちもんめ〜の下りの歌詞が好きだったな。
バーニーのメタルを思わせる激しいギターソロから始まった“球根”。緊張感に包まれ、静まりかえり、じっと演奏に聴き入る会場。最初なんの曲か分からなかった程アレンジされていた。“球根”はあまり好きな歌ではなかったのですが、演奏途中でこの曲の意味に気付いて愕然とする。「世界は壊れそうになった」 当時、ただ生命の誕生を尊重している歌にしか取れなくて、対象に世界を持ってきている所とか、大げさに感じてしまっていた。けれど違う、これは希望を信じたいと切実に願う歌だと気付いた。とても不安だった。あの地震の後。これからどうなってしまうんだろう。沢山の人が死んで、沢山の人が悲しい思いをした。被害が大きかった地域の方に比べたら、私なんて安全で恵まれた環境に居る。微少過ぎるかも知れないけど、せめて出来ることをなんて思って、行動していた。でもそれは、広大な砂漠に水をまく様なもので、不毛な行為なんじゃないかと思って絶望的な気持ちになった。私たちのやってることなんて無駄なんじゃないかって。毎日普通に仕事に行って、普通の生活を行う。でも不安で仕様が無かった。 「世界はコナゴナになった でも希望の水を僕はまいて」 曲の途中、気付いたら涙が溢れ出ていた。地震後、初めて人前で大きく泣いた。涙で吉井さんがキラキラして見えなかった。絶望のなかにいても、希望を信じようと、祈りにも似た気持ちで水をまく。悲しみを抱えながらも、生命の繋がりに希望を託す。咲け、花と強く祈っている。吉井さんがこの曲を今回のツアーに持ってきた意味が分かったような気がした。
涙と鼻水で凄いことになっていたのですが、間髪入れず次の曲“MUSIC”へと流れ込む。この曲、曲調自体はディスコ(ファンク?)調なんですが、冒頭部分がラップみたいになっていて、思わずちょっと笑う。“球根”を聴いていた状態からまだ立ち直ってないのに、容赦無いです。でも頑張って踊りながら歌う。そして楽しみしていた“クランベリー”!ジャパメタのSABBRA BELLSとアークティック・モンキーズを足した感じと吉井さん自身が言っていたように、メタル調の部分があり好きなのです(BLACK SABBATH的でもある。)。歌詞の内容は(吉井和哉の解釈による)創世記で、曲の雰囲気も宗教的で好きなのです。宗教的・普遍的な内容の歌詞でも、捉えようによっては男女の関係にことを歌ってる様にも思えて切ない。スクリーンには蝙蝠や骸骨といったなにやら不吉な感じな映像が流れていて、メタルって感じでワクワクします。ライブで聴いてもとても格好良い。久し振りに拳を突き上げ、思い切りヘドバン出来て満足でした。(周囲にそんな人は皆無でした…。)“シュレッダー”も実はそんなに好きではない曲でした。ただこれも歌詞を噛みしめながら聴くと、涙が出てきてしまった。 「神様にあったらこんな風に言うんだ どんな目にあっても生きていたいです」「この街の緑は キレイだね」 個人的に“SWEET&SWEET”が聴けたのが嬉しかった!懐かし過ぎる。俺はプリミティヴに踊る!暴れていたので吉井さんをよく観ていなくて残念。そして“LOVE&PEACE”でも泣いてしまった。去年の武道館で初めて聴いたときはそんなピンと来なかったのですが、やはり優しくて素敵な曲。「ここはまだ平和な場所」って歌詞が、今の状況でどうなんだろうと思い、ライブでやらないかもって思ってました。でも大丈夫だった。安心した気持ちで泣きながら笑って、「おはよう」と歌った。
今回のツアータイトルは、地震前に既に決まっていたもので、FLOWERは花(咲いている、これから咲こうとしている私たち自身)、POWERLIGHTも力と光(照明)とそのままの意味。ただ今回照明に凝った演出を予定していたそうですが、節電のため普段より控えめな感じになったそうです。よいライブを作ろうとした時、そういう演出も大事ですが、無くてもじゅうぶんなくらい、希望と光に満ちていたライブだったと思う。お世辞や誇張ではなく、本当にそう感じた。因みにPOWERLIGHTは、英語のスラングで創世記という意味もあるそうで。混沌とした世界からの創造。いま私たちがそうなのかもしれないと思いながら。辛く苦しくても、土の中で色々あっても、希望を信じていつか力強く咲いていけるように。薄暗いライブハウスの中、祈る様に思った。吉井さんにありがとうと伝えたい。そんな素敵なライブでした。