私を月まで連れてって

吐き気がする程眠いのに、胃が痛くて眠れません。
不安感が襲ってきて、凄いな。
自分が何をしたいのか、どうしたいのか、その欲求すらわからない。
何もしたくないのかもしれない。

パトリス・ルコントの『歓楽通り』という映画で、印象に残っているシーンがある。
戦争の影に怯えるヒロインに対し主人公は、「不安な時は、楽しいことを数えるといい。」、というようなことを話して聞かせ、なだめる。ある日宝くじを一枚だけ買う。するとそれが大当たり、そんな他愛もないことをあげていく。ヒロインは少し安心して、微笑む。

悲しいとき、不安なとき、よくこのシーンを思い出して実行しようとするけど、楽しいことが思い浮かばなくていつも途方に暮れる。
楽しいことがなかったらどうすればいい?
本当はある。けれどそれらは実現不可能なことばかりで、自分の中ですぐに打ち消しては、自嘲気味に笑う。楽しいことなんてないじゃない。
妄想は、願望は、キリがないほどに溢れてくる。
夢のような世界。涙が出るような幸せな世界。
そこにずっと居れたらいいけれど、現実は容赦なくやって来る。
お前のような愚鈍で無能なやつは誰からも必要とされない。お前のような醜女は誰からも愛されない。諦念で汚れた目をして、そのくせ他人を羨み嫉妬することにはギラギラと光る。自分だけ愛されたいと願う強欲な生き物。お前のように汚いやつには誰も触れはしない。
これからもそうやって生きていくのだ。
ごめんなさい、ごめんなさいと何回謝って生きて行くのだろう。
形だけのエクスキューズだと腹を立てられもするだろう。
それが本心かどうかなんて、もう自分すら分からない。


映画のラストシーンが頭の中に浮かんでは消える。
幸せになるんだというその瞬間に鳴り響く銃声。
幸せは死と隣り合わせな気がします。


歓楽通り [DVD]

歓楽通り [DVD]